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「口腔ケア」という言葉をご存知でしょうか? ~最近の研究から~ その2

前回のブログでは、最近の知見により、「口腔ケア」について新しい研究データが多数発表されてきており、厚生労働省もそれに着目し、医療制度に取り入れる動きも出てきているというお話をさせて頂きました。

その一例として、「周術期口腔ケア(周術期口腔機能管理)」というものがあります。
これは、病気で入院・手術を行う際に、その前後(周術期)に歯科医師や歯科衛生士による専門的口腔ケアを行う事で、合併症の予防や入院日数の短縮が期待できるという研究データに基づいた考え方です。

以下の資料は、平成26年の厚生労働省社会保障審議会における資料から抜粋したものですが、千葉大学医学部附属病院での研究結果では歯科医師や歯科衛生士による計画的周術期口腔ケアを実施した患者さんでは、看護師などによる一般的口腔ケアのみを行った患者さんよりも、合併症の発生が少なく、退院までの日数も少なくなるという驚くべき結果が出ています。


↓クリックすると別ウィンドウで開きます。 (平成26年の厚生労働省社会保障審議会における資料から抜粋)

 1.まるいち  2.まるに

 3.まるさん  4.まるよん

 5.まるご ※6.まるろく

※7.まるなな ※8.まるはち

↑※6.注釈 
口腔内は、もともと術後感染のリスクが高い場所なので、口腔機能管理により感染リスクの減少、ひいては抗菌薬の投与期間の短縮につながると考えられます。

↑※7.注釈
 CRP値とは、血中のC反応性タンパクの値のことで、体に感染や炎症があると高値になります。口腔機能管理群でCRP値が低いことがわかります。

↑※8.注釈 
COPDとは慢性閉塞性肺疾患のことです。COPDの方は炎症性呼吸器症状を起こしやすいのですが、感染によって急性増悪が生じることがあるので、適切な口腔機能管理がより重要になります。

いかがでしたでしょうか?

一般に、全身麻酔下で手術を受ける場合、通常は口から気管にチューブを入れる気管内挿管を行います。
その際、口の中の衛生状態が悪ければ、チューブを通して口の中の細菌が気管や肺に入ってしまいやすくなります。また歯周病により揺れてしまっている歯が抜けてしまったり、むし歯で脆くなっている歯が折れてしまうおそれもあります。
手術後に、お口の中の状態が悪くて食事の経口摂取がしにくければ、回復を遅らせてしまうかもしれません。
また、悪性腫瘍の治療で抗がん剤などの化学療法や放射線治療を受けられる場合には、副作用として口内炎が発生しやすくなる場合があります。
適切な口腔ケアを行うことにより口内炎の発生頻度を低下させることができますし、口腔内の衛生状態が悪い状態で口内炎が発生すると、痛みにより口腔内清掃がしにくくなり、更に口腔衛生状態を悪化させる原因となります。

以上の事からも、特に手術の前後での「周術期口腔ケア(周術期口腔機能管理)」がいかに重要であるかがおわかり頂けるかと思います。
もし入院や手術の予定がある方やそのご家族の方で、口腔ケアやお口の状態に不安がおありであれば、是非ご相談頂ければと思います。

今回のブログでは、特に入院や手術時の「周術期口腔ケア(周術期口腔機能管理)」についてお話をさせて頂きましたが、口腔ケアは日常生活の中でも非常に重要な役割を持っています。
次回のブログでは、そのあたりのお話をさせて頂きたいと思います。

当院では、なるべく医学的根拠に基づいた正しい情報の発信に努めていきたいと考えております。
ご質問等がございましたら、ご遠慮なくお聞き頂ければと思います。