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抜歯について

なかね歯科道灌山ではなるべく歯を残すべく治療を行っております。
しかし、残念ながら歯の状態や骨の状態、その他から歯を抜かなくてはならなくなってしまったり、
抜歯をおこなったほうが予後が良いケースがあるのも事実です。

その際に、抜歯を行う上で患者さまの全身状態に気を配るのは勿論ですが、
治療手技においても注意が必要な場合があります。
当院で処置を行った症例からこのようなケースをご紹介したいと思います。


一番目のケースは、重度のむし歯の進行の為に歯の根だけが、顎の骨の
奥深くに残ってしまったケースでした。

エックス線写真からも、骨のかなり深いところに歯の根があることがみてとれます。

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この状態ではいくらつついてみても絶対に歯の根を取り出すことはできません。
実際の処置では、写真のように歯ぐきを切開し、なお且つ顎の骨を一部削除して抜歯を
行いました。

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最後に歯ぐきを元に戻し縫合を行い無事終了となりましたが、

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このようなケースでは歯ぐきの剥離だけではなく、骨の削除も必要になってしまうことが
多いです。



二番目のケースは下顎の親知らずの抜歯についてです。

一般的に上顎の親知らずの抜歯にくらべ下顎の親知らずの抜歯のほうが注意点が多くなります。
構造的に下顎の親知らずは顎の骨の中に埋まったままになってしまい易く、
またその周囲に、下歯槽神経や下歯槽動静脈、舌神経といった重要臓器が近接しているために
より注意深い処置が必要になります。

特にこのケースでは、写真のように根の先端が湾曲している為、根が引っ掛かった状態になってしまい
摘出しにくい状態にありました。このような場合力任せに処置を行うと様々な偶発症を
惹き起こしかねません。そこで写真のように歯を分割した上で丁寧に少しずつ取り出すことにより
無事抜歯を終了しました。

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三番目のケースは逆に、見た目程処置が複雑ではないケースです。

この方の場合、永久歯がはえてきたのに乳歯が残ってしまっていました。
このような状態ですと、保護者の方がかなり心配され来院されますが、
見た目と違って抜歯は至って簡単です。
小学生の患者さん本人も、処置後余裕の笑顔で帰宅できます。
このような症例では、抜歯そのものよりも、何故このような生え代わりの
経過をたどったか、今後かみ合わせなどの咬合育成をどう行っていくか
といったことに注意をはらう必要がありますが、それはまた別の機会に
ご説明いたします。

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当院では外科的処置を行うにあたり、

A 通常の処置として扱うもの

B リスクを考慮しより慎重に処置を行うもの

C 高リスクのため高次医療機関(大学病院の歯科口腔外科など)に
  紹介を行うもの

以上のようなクラス分けを行った上で、対応しております。
特にBに分類されるようなケースでは、院長および大学病院口腔外科
に勤務経験のある副院長と、歯科医師二人体制で治療に臨むケースも多々あります。
また、Cにあたるケースでは積極的に病院歯科口腔外科をご紹介させていただいて
おります。

なぜここまで慎重になるかというと、私自身の経験によるものがあります。

と言いますのは、私が歯科大学の学生の頃、口腔外科の恩師に自身の親知らずの抜歯を
お願いしたことがありました。

術前のエックス線所見において、私の親知らずは顎の骨の奥深くに位置しており、神経
及び血管と近接しているため術後暫く神経麻痺が生じる可能性が高いこと、
それを充分に考慮した上で、細心の注意で処置を行う旨の説明を受けました。

結果的に3カ月間程下口唇の麻痺が生じましたが、専門医の恩師の適切な処置のお陰で
後遺症を残さずに済んだ記憶があります。

このように大きな医的侵襲やリスクを伴うことが予想される場合には、慎重には慎重を
重ね適切な判断と処置を行うことが何よりも重要であります。

安全安心を基本にする当院では、この点を最重要視して日々診療を行っていることは言うまでもありません。