fc2ブログ

診療時間変更のお知らせ

5月24日水曜日は、
所用により17時までの診療とさせて頂きます。
宜しくお願い致します。

診療時間変更のお知らせ

4月15日土曜日は、午後訪問診療のため13時までの診療となります。
宜しくお願いを致します。

診療日変更のお知らせ

9月20日㈫は休診とさせて頂きます。また代替として、
9月22日㈭を診療日とさせて頂きます。
よろしくお願いを致します。


摂食嚥下障害について ~日本頭頸部癌学会シンポジウム~

先日、奈良県で開催された日本頭頸部癌学会のシンポジウムに、当院の摂食嚥下相談医である中根綾子歯科医師がパネリストとして招待されました。

   IMG_20220614_001744.jpg   IMG_20220614_001838.jpg
  (↑サムネイルをクリックすると拡大します。)

最近話題の多い摂食嚥下障害ですが、一般の方の中には高齢や寝たきり状態に伴う病気というイメージを持たれている方も多いようです。

しかしながら、摂食嚥下障害の原因として圧倒的に多いのは、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によるもので、その他の原因としては悪性腫瘍や各種神経疾患、先天異常など多岐に渡ります。
勿論、脳血管型認知症や認知症に伴い食事や食べ物に対する認識能力が低下して摂食嚥下障害が生じる場合もありますが、例えばアルツハイマー型認知症が誤嚥の直接的な原因となることは少ないとされています。

ですので、脳血管障害をはじめ、悪性腫瘍、各種神経疾患、先天異常などに伴う摂食嚥下障害は、決して高齢や寝たきり状態に伴うだけの病気ではないという認識が必要であると思います。

以上お話したように、摂食嚥下障害の原因や病態は多岐に渡り、その診査診断や治療計画の立案や治療には、隣接関連医学の知識や他職種連携など相当の専門的知識や経験が必要とされます。

患者さまご自身やご家族で、「食事や飲み込み等でちょっと相談したいのだけど、どこで誰に相談したらよいのかわからない。」といったお悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら、
当院が最初の窓口となり、必要に応じて専門医や高次専門医療機関をご紹介させて頂くことが可能ですので、お気軽にご相談ください。

新型コロナウイルス(オミクロン株)の最新知見について

依然として猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症ですが、最新の知見によると、オミクロン株以降はそれまでのデルタ株以前のウイルスとはその感染システムに違いが生じているようです。

そこで今回のブログでは、その最新の知見をもとに、歯科口腔領域との関わりも交えながらお話をしたいと思います。

(なお、もし当ブログの内容につきまして、誤った解釈等がございましたらご指摘を頂ければ幸いです。よろしくお願いを致します。)

そもそも新型コロナウイルス(以下SARS-CoV-2)は、細胞膜表面にあるACE2という受容体に特異的に結合し、細胞が持つエンドサイトーシスという作用により細胞内に侵入し増殖します。その際2種類の侵入経路があることが以前からわかっていました。

一つ目は細胞の食作用により細胞内で小胞化して取り込まれる経路で、二つ目はTMPRSS2というタンパク質分解酵素の働きにより効率的に細胞内に侵入することできる経路です。


vir-2020-02.jpg  (国立感染症研究所HP図より改変引用 )

そして、デルタ株以前のSARS-CoV-2は、このTMPRSS2というタンパク質分解酵素を利用して細胞内に侵入することができるのですが、最新の研究によると、現在主流のオミクロン株はTMPRSS2を利用しにくいという考察が得られているようです。

このTMPRSS2は、上気道よりも肺など下気道の細胞に多く存在しており、そのためデルタ株などの従来株では重篤な肺炎などを引き起こしやすかったようなのです。
逆に、オミクロン株ではTMPRSS2を利用しにくいため、上気道からの感染が多く、のどの痛みなどの症状が強いようなのです。

歯科口腔領域では、舌や唾液腺にこのTMPRSS2が多く存在しています。そのため、舌や唾液腺の細胞に従来株のウイルスが侵入増殖しやすくなっていたようです。
従来株で味覚障害が生じたり、唾液の飛沫による感染が強く示唆されたりしたのは、もしかするとそのせいなのかも知れません。

このように、新型コロナウイルス感染症に関する研究は日々進んでいますが、まだまだwithコロナ生活は続いていきそうです。
いずれにせよ、ウイルスが粘膜から体内に侵入することを考えれば、口腔粘膜からの感染予防にも注意を払っていくに越したことはありません。

以前に当ブログでも幾度かお話したように適切な口腔ケアを行い口腔衛生状態を良好に保つことは、感染予防の観点から大変重要になります。

ご自身で行っていただくセルフケアと、歯科医院で行うプロフェッショナルケアは車のの両輪のようなものですので、コロナ禍においても引き続き継続していくことが肝要であるといえるでしょう。


参考資料 (クリックするとリンク先に移動します。)

SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第6報) 国立感染症研究所 

TMPRSS2発現細胞を使うと新型コロナウイルス SARS-CoV-2が効率良く分離できる 国立感染症研究所

〔プレスリリース〕新型コロナウイルスは、口腔から感染する 神奈川歯科大学